IGS通信 2017

セミナー(生殖領域シリーズ)「同性カップルの家族づくりとAID」

IGSセミナー(生殖領域シリーズ)第2回「同性カップルの家族づくりとAID」

近年、同性婚を法的に認める国があちこちでみられるようになり、同性カップルが生殖医療を利用して子どもを持つ例も増えてきている。日本においても、まだわずかではあるが、親になることを望むLGBTカップルやすでに子どもを持つLGBT家族が登場している。そこで、本セミナーでは、日本でLGBTの人たちが生殖医療等を介して子どもを持つとき、どのような問題にぶつかり、子どもにはどのように出生の事実を伝えようと考えているのか等について、レズビアン女性2人から、同性カップルの家族づくりについて話を聞いた。

最初の登壇者である東小雪氏(LGBTアクティビスト)は、「日本におけるレズビアンマザー」と題して報告した。2015年、東京都渋谷区で始まった地方自治体による同性パートナーシップ制度が全国にも広がりつつあり、日本でも同性カップルの存在が少しずつ目に見えるようになってきた。その一方で、子どもを育てる同性カップルについては、まだまだ可視化されづらい現状がある。しかしここ数年、レズビアンカップルを中心に、妊娠・出産により子どものいる家族が日本でも増えつつある。しかし、日本でLGBTが子どもを持つにはハードルは高く、養子を希望しても、実際に養子を迎えることは不可能に近い。また生殖医療で子どもを持とうとしても、日本産科婦人科学会が学会規定で、生殖医療の提供を異性のカップルに限定しているため、同性カップルはAID(提供精子による人工授精)等を受けることもできない。そのため、自分たちでドナーを探し、自己授精などで妊娠を試みる例もあるが、精子提供者を探すのはむずかしい。日本に自己授精を禁じる法はないため、仮に精子提供者を見つけ、提供精子で自宅で自己授精しても、現行法では出産した女性しか親にはなれず、子どもの法的な立場も不安定になるため、子の福祉の観点からも問題である。東氏たちは、子を希望し受けたカウンセリングで、心理カウンセラーから、仮にAIDで子どもを持っても、子どもには真実を伝えることが重要だというアドバイスを受けた。東氏は最後に、自分たちもAIDで子どもを持った場合には、ドナーへのコンタクトの可能性も含めて、子の出自を知る権利を守りたいと述べた。

二人目の登壇者の青山真侑氏(にじいろかぞく副代表)は、提供精子による体外受精で子どもをもったレズビアン女性である。ゲイ友人の精子提供により授かった子どもを育てている立場から、自身の経験を中心に「日本で子育てするセクシュアル・マイノリティ親」というタイトルで報告した。青山氏はファシリテータの仙波との対談形式で、自身の子どもを持つために行動を起こしてから、どのような問題に直面したかなど、自身の経験を語った。青山氏とパートナーとのつきあいは、18年間にも及んでいる。子を持つために精子ドナーを探すのもたいへんだったが、子どもが生まれ、育児はもっとたいへんである。育児は二人でするものと思っていたが、パートナーは出産していないし、レズビアンであることを口外していなかったため、育児をしたくても職場の理解がなく、非常にたいへんな思いをした経験などを話した。また両親が女性であることを、子どもなりに理解している様子についても紹介した。

二つの報告から、同性カップルの家族づくりには、社会が多様な家族の形を受け入れ、親子規定を含め、子どもがどのような家族に生まれても不利益を受けない法制度等が必要だと感じた。

記録担当:仙波由加里(IGS特任RF)

【日時】2016年7月27日(水)18:15~20:30
【会場】お茶の水女子大学人間文化創成科学研究棟6F 604教室
【報告】
東小雪(LGBTアクティビスト)「日本におけるレズビアンマザー」
青山真侑(にじいろかぞく 副代表)「日本で子育てするセクシュアル・マイノリティ親」
【質疑応答・ファシリテータ】仙波由加里(お茶の水女子大学ジェンダー研究所 特任RF)
【主催】お茶の水女子大学ジェンダー研究所
【参加人数】85名

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