IGS通信 2015

アリア・アサリ公開講義「Women in Palestine」

6月26日に、パレスチナのアン=ナジャーフ大学教育科学教員養成学部長である、アリア・アサリ先生をお迎えしての公開講義「Women in Palestine」が実施されました。
講義では、古い伝統を守りつつも、近代化という変化が進んでいるパレスチナ社会での、女性の社会的役割や、経済状態、政治参加、就労、教育などについての詳しい説明がありました。女性の権利への認識は向上して教育レベルも上がり、大学生の54%を女子学生が占めるまでになっているが、結婚後は家庭に入るなど、家父長制を基本とする習慣の継続傾向は強く、女性が経済や政治活動で前面に出てくるようになるまでには、さらなる変化が必要とのことです。
講義に続いての質疑応答では、そうした伝統を重んじる社会で、学内唯一の女性の学部長を勤め、妻そして母としての家庭内での役割を果たしながら、フェミニストであり、女性運動のリーダーでもあるという、アサリ先生ご自身の状況についてのお話を伺うことも出来ました。また、現在のパレスチナの政治状況や人々の生活、文化やアイデンティティについても、日本との比較を交えながらお話いただき、日本のニュース番組などでは、ただ紛争地域として紹介されてしまいがちな、パレスチナとその地域の人々を、より身近に知る機会となりました。
会場が満席になるほどの人数にお集まりいただきましたが、イスラム過激派の台頭など現在進行中の難しい問題についても、言葉を選びつつはっきりとご自身の意見を述べるアサリ先生の姿勢から、参加者の皆さんが学ぶことも多くあったのではないかと思っています。

(記録担当:吉原公美 IGSアカデミック・アシスタント)

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[講義内容関連サイト]
UN WOMEN, Palestine, Facts and Figures: Leadership and Political Participation
World Culture Encyclopedia, Palestine, West Bank, and Gaza Strip
The World Bank, West Bank and Gaza, Early Childhood Development in West Bank and Gaza

《開催詳細》
【日時】2015年6月26日(金)18:20~19:50
【会場】お茶の水女子大学本館1 階125教室
【講師】アリア・アサリ(アン=ナジャーフ大学教育科学教員養成学部長)
【共催】大学院「ジェンダー理論文化学」(担当:小玉亮子)、社会理論研究会2015、 お茶の水女子大学ジェンダー研究所
【参加者数】49名