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11/21 セミナー「月経教育と女性の生涯の健康」

IGSセミナー(生殖領域)「月経教育と女性の生涯の健康」

日時: 2020年11月21日(土)10:00~11:30
  (11月20日(金)15:00~16:30 ハワイ時間)
オンライン開催(zoom webinar)

月経はほとんどの女性にとって一生のうちの一定の期間、ほぼ定期的に経験する身近な生理学的現象であり、女性の健康と密接にかかわっています。しかしこの月経に関する教育を私たちは十分に受けてきたでしょうか。本IGSオンラインセミナーでは、米国ハワイ州立大学大学院社会科学研究科博士課程のMaura Stephens-Chuさんと湘南鎌倉医療大学看護学部看護学科教授の森明子さんをお迎えし、Stephens-Chuさんには医療人類学者およびフェミニスト人類学者のお立場から、そして森さんには医療専門職者のお立場から、月経教育に着目して、それが女性の生涯の健康にどのような影響を与えるかについて各々のご研究からご報告いただきます。そしてこの問題について参加者とともに議論したいと思います。

講演者 マウラ・スティーブンス(米国ハワイ州立大学大学院社会科学研究科)
「生理の習い方と話し方が生理異常の治療の決定にも影響する? 日本の女子大生へのインタビューから」
森明子(湘南鎌倉医療大学看護学部看護学科教授)
「月経と女性の健康」
司会 仙波由加里(お茶の水女子大学ジェンダー研究所 特任リサーチフェロー)

使用言語:日本語

参加申込(要事前申込・登録制、参加無料):zoom参加申込フォーム
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報告要旨

マウラ・スティーブンス生理の習い方と話し方が生理異常の治療の決定にも影響する? 日本の女子大生へのインタビューから

マスメディアからの注目や医学研究の蓄積が増え、一般の人にも月経困難症や無月経などの月経異常が徐々に知られるようになってきている。日本は少子高齢社会を背景に、メディアと科学論が月経異常がどのように生殖能力に影響するかを強調している。実際に、科学的方面でも学校教育の現場でも、月経は生殖能力と関連があり、生殖能力と母親になることが女性として大事であると強調する。すると、そう教えられた若い女性たちは、自分の月経周期が学校で習った月経の特徴と異なる場合に悩むことになる。本研究では、日本の東京在住の女子大学生へのインタビューを通して、この問題を考えてみた。インタビュー調査参加者の大半は毎月定期的に月経がくる、つまり月経周期が「普通」であると健康だと思える。一方、不定期の月経周期が現状の健康に問題があると、将来不妊でたいへんなことになるかもしれないと思ってしまう。しかし、女性大学生は重い月経量、月経痛、月経周期不順などの月経異常を経験しても、治療するかどうか人によって違う。彼女たちの対応や治療の決定はおそらく月経について教わった考え方や話し方に関係がある。

森明子月経と女性の健康

私は看護学の立場で長く不妊をテーマにして教育・研究にたずさわってきた。とくに月経は直接テーマにすることは少なかったが月経の置かれている状況と不妊とは似ていたり関連があったりする。一つは未だにタブーでどこか嫌がられ、隠され、語りにくい、語られにくい側面があるということ。もう一つはそれ自体、生理学的現象で医学的関心の対象であるが、それを経験する人の世界があるという側面である。そして、月経の問題が不妊と深く結びついていたりする。これまで不妊に悩む女性との関わりのなかで子宮内膜症を背景にもつ方がとても多かったことが今回ご紹介する研究課題につながっている。子宮内膜症はまさに月経関連疾患である。このセミナーでは、まず、月経に関する医学的知識を確認し、月経の、女性の生涯にわたる健康との関わりについて最近の知見などを踏まえる。そして、女性が月経によってどのような影響を受けているのか、月経にどのように対処しているのかを概観したい。最後に、これから取り組もうとしている研究について紹介する。医療専門職者の一人であり、その土壌に浸(つ)かって仕事をしている私には、マウラさんの論文の医療人類学の視点は新鮮であった。セミナーに参加してくださる皆様とともにどのようなディスカッションができるのか、緊張とワクワクとが続きそうである。


講演者略歴

マウラ・スティーブンス Maura Stephens-Chu

略歴: 2016年に人類学専攻修士課程を取得、現在、米国ハワイ大学大学院社会科学研究科人類学専攻博士課程に在籍する。2017年度国際交流基金日本研究フェロー兼お茶の水女子大学ジェンダー研究所の研究協力員として博士論文のためのフィールドワークの一環として調査研究を行った。「Conceal at All Costs: Lived Experiences of Menstruation in Japan」という博士論文はフェミニスト人類学と医療人類学の視点から日本において女性大学生の生理を中心とした経験のみならず生理用品業界を分析する。ハワイ大学にて日本文化の講師兼評定と課程サポートセンター(Assessment and Curriculum Support Center)の研究助手として働く。

森明子氏

1980年聖路加看護大学卒業。1986年聖路加看護大学大学院看護学研究科博士前期(修士)課程看護学専攻修了。2006年聖路加看護大学より博士号取得。資格は助産師、看護師、保健師、高等学校教諭二級普通免許(保健・看護)。聖路加国際病院、 聖母女子短期大学を経て1993年より2019年まで聖路加国際大学に勤務。2020年から湘南鎌倉医療大学看護学部看護学科教授、聖路加国際大学名誉教授。研究領域はリプロダクティブ・ヘルス、とくに不妊。厚生労働省の不妊治療関連の検討会委員を経験。愛知県生まれ、神奈川県茅ケ崎市在住。好きな言葉「継続は力なり」「三人寄れば文殊の知恵」。

主催:お茶の水女子大学 ジェンダー研究所