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研究プロジェクト2025

IGS研究プロジェクト

「東アジアにおけるジェンダーと政治」研究

担当/共同研究者

申琪榮(IGS教授)
三浦まり(上智大学教授)
スティール若希(名古屋大学特任准教授)

研究内容

東アジア地域はその経済発展の成果により国際的に注目されているが、政治の民主化の道筋は一様ではない。本研究プロジェクトでは、日本と韓国、台湾の議員を対象としたアンケート調査による国際比較分析を行ない、東アジア地域において、女性の政治代表性を向上または妨げる要素は何か、政治制度におけるジェンダー多様性を実現させるにはどのようにしたらよいかを検討する。

東アジアにおけるエコロジーと生存のフェミニスト分析

担当/共同研究者

大橋史恵(IGS准教授)

資本と身体のジェンダー分析

担当/共同研究者

大橋史恵(IGS准教授)
足立眞理子(IGS客員研究員)
板井広明(IGS研究協力員/専修大学准教授)

研究内容

本プロジェクト「資本と身体のジェンダー分析:資本機能の変化と『放逐』される人々」は、グローバル金融危機以降の資本の中枢機能の変化を分析する。サスキア・サッセンの「放逐expulsions」概念に着目して、従来の身体の断片化や排除/包摂の概念では把握不能な「放逐」の「常態化」をジェンダーの視点から分析する。

性・身体・再生産領域におけるジェンダー分析

担当/共同研究者

嶽本新奈(IGS特任講師)

研究内容

本研究プロジェクトは、開国以降に海外へ渡航し、渡航先で性売買をしていた女性たち(「からゆきさん」)の状況を再生産領域の観点から明らかにすることを目的としている。「からゆきさん」については性売買の問題のみに注目されがちだが、女性たちの再生産領域の問題と連関する「経験」として捉える必要があり、女性たちの人生を視野に入れて考察していきたい。

反公害/環境運動史におけるジェンダー分析

担当/共同研究者

嶽本新奈(IGS特任講師)/西亮太(中央大学准教授)、番園寛也(熊本学園大学水俣学研究センター客員研究員)

研究内容

天草に建設される石炭火力発電所への反対運動として始まった天草環境会議は2023年で40回目を迎える。この環境会議は、反公害運動が下火になった1984年の段階で石炭火電建設を公害と環境の複合的な問題としてとらえており、国内外の運動ネットワークと知的影響関係を持っていた。この運動の歴史的な歩みと運動内外におけるジェンダー的差異の機能や役割を資料と聞き取りをとおして検討する。

グローバル・ガバナンスの変容と国家の再構築におけるジェンダー

担当/共同研究者

本山央子(IGSリサーチフェロー)

臨床心理学・健康科学とジェンダー・セクシュアリティ

担当/共同研究者

石丸径一郎(IGS所長)

 

外部資金研究プロジェクト

科研費基盤(B)「日本における移住女性家事・ケア労働者の労働状況と主体性に関する発展的研究」(23H00888

担当/共同研究者

大橋史恵(IGS准教授)[研究分担者]
平野恵子(横浜国立大学・IGS研究協力員)[研究分担者]
定松文(恵泉女学園大学)[研究代表者]

研究内容

本研究は以下二つの課題から構成される。課題Ⅰでは現在の家事・ケア労働市場・準市場・非市場における需要と労働者および経験者の労働実践と就業選択の理由に関する定性的調査として、現在の移住家事・介護労働者および日本での介護・ケア労働の経験者への聞き取り調査の計画している。課題Ⅱは移住家事・ケア労働者の連帯と社会変革の主体性の研究である。調査からキーパーソンを選び、複数回の聞き取り調査により地域社会の再生産を行う主体性を析出する。アジア諸国と国際労働組合総連合(ITUC)等における家事・ケア労働者の運動と連帯の動向を調査し、グローバルな潮流の中での日本の移住労働者との連携や運動の展開について考察する。
[2023~2025年度]

科研費基盤(B)「フェミニズム理論による新たな国家論の構築:ケア概念と安全保障概念の再構想から」(23H03654

担当/共同研究者

申琪榮(IGS教授)[研究分担者]
本山央子(IGSリサーチフェロー)[研究分担者]
岡野八代(同志社大学)[研究代表者]

研究内容

現在、政治学の主要な研究対象であった国家は、市民社会との関連だけでなく、より広くより複雑な形で、国際社会、環境、経済、そしてジェンダーといった視点から、その歴史を踏まえて問い直される時がきている。
そこで、本研究では、第二波フェミニズム運動を受けて深化した90年代以降のフェミニズム理論を批判理論として捉え、男性中心主義を克服するための鍵をケア労働の配置とその権力的分配の在り方の刷新のなかに見出すことによって、武力を背景とした安全保障概念を見直し、環境や国際社会にまで射程を拡げたフェミニズム理論に依拠した国家論を構想する。
[2023~2026年度]

科研費基盤(C)「『からゆきさん』にみる性・移動・再生産領域」(23K11676

担当

嶽本新奈(IGS特任講師)

研究内容

「からゆき」の移動を再生産労働の需要と供給の観点から把握することで、その移動現象を構造的に解釈することが可能になるとともに、娼館を出て以降の経験についても植民地における人種主義とジェンダー秩序に基づく数少ない「経済的営為」の選択肢としてより包括的に考察対象に含めることが可能となる。こうした「からゆき」の「経済的営為」の諸相を考察すべく、再生産労働概念を用いて彼女たちのミクロな経験と、国家・植民地・コミュニティというマクロな動きを接合し、その構造を明らかにする。
[2023~2025年度]

科研費基盤研究(A)「『奴隷制の想像力』:地中海型奴隷制度論の動態的検討」(24H00106

担当

嶽本新奈(研究分担者)
清水和裕(研究代表者)
小林和夫(研究分担者)
鈴木茂(研究分担者)
弘末雅士(研究分担者)
井野瀬久美惠(研究分担者)
貴堂嘉之(研究分担者)
高橋秀樹(研究分担者)
疇谷憲洋(研究分担者)
鈴木英明(研究分担者)

研究内容

本研究は、古代地中海世界から近世・近代大西洋奴隷交易へと展開した地中海型奴隷制度について、「奴隷制の想像力」がその変容過程に及ぼす影響に着目しつつ、そのグローバルで動的な展開を描き出す。「奴隷制の想像力」とは実際の奴隷制と隷属に関する言説や表象が作り出していく「奴隷制/隷属イメージ」が歴史的現実を変えていく力である。本研究においては、地中海型奴隷制度と地域的な隷属関係の交差のなかに成立する「奴隷制の想像力」の検討に当たり、ジェンダーと労働形態、奴隷の逃亡・抵抗・解放といった諸元に注目して分析を行う。
[2024-2027年度]

科研費若手「日本による親ジェンダー外交の展開:安全保障、ガバナンス、植民地主義視点からの分析」(23K17134

担当

本山央子(IGSリサーチフェロー)

研究内容

本研究は、日本が国内ジェンダー秩序との矛盾をいかに統制しながら、国際ジェンダー規範との交渉を通して「先進国」としてのアイデンティティを構築し特権的地位を主張してきたのか明らかにすることを目的としている。明治期以降の外交を通じた国際ジェンダー規範との交渉を包括的に把握し、特に2010年代以降の外交におけるジェンダーの位置づけの変化について、歴史的植民地主義、安全保障の再定義、新自由主義的ガバナンスの台頭という3つの要因に注目して分析を行う。
[2023~2027年度]

科研費基盤研究(A)「性別規範の変遷から再構築する華語文学史」(25H00468

担当

大橋史恵(研究分担者)
濱田麻矢(研究代表者)
鳥谷まゆみ  (研究分担者)
小浜正子  (研究分担者)
田村容子 (研究分担者)
藤野真子  (研究分担者)
海老原志穂 (研究分担者)
LIN LITING   (研究分担者)
松村志乃(研究分担者)
三須祐介 (研究分担者)
早川太基(研究分担者)
鄭洲 (研究分担者)
鈴木賢  (研究分担者)
星泉(研究分担者)
張文菁  (研究分担者)
津守陽(研究分担者)

研究内容

本研究は、常に国家、民族、戦争、革命など「大きな物語」を基盤に語られてきた華語文学史を、リプロダクションや性別、恋愛といった「小さな物語」から再構築しようとするものである。90年代以降、フェミニズム理論に基づいた文学研究は数多くなされてきたが、その多くは「女性文学史」としてカテゴライズされたものか、正面から家庭や恋愛を取り扱った少数のテクストをジャンル的に整理したものであった。本研究は、従来のフェミニズム批評では取り上げられなかったカノンの中に潜むジェンダー観を炙り出し、当時の社会的事実や風潮、法制度と照らし合わせながら全く新しい文学史の構築を目指す。
[2025~2029年度]