2021. 11. 26 IGSセミナー「不妊と男性のセクシュアリティ」
日時:2021年11月26日(金)17:00〜18:30
オンライン開催(ZOOM Webinar)
不妊の問題は、産む性である女性の問題というように捉えられがちである。しかし、1997年に発表された世界保健機関(WHO)の調査結果では、女性のみに不妊の原因がある場合が41%、男性のみに原因がある場合が24%、男女ともに原因がある場合が24%、原因不明が11%であり、不妊原因の約半分に男性がかかわっていることが示された。不妊男性を対象とした研究調査は国内外ともにあまり多くなく、不妊とわかった男性たちが不妊という状況とどのように向き合っているのか、それもよく知られていない。そこで、本セミナーでは、2人の日本人研究者を招き、「不妊と男性のセクシュアリティ」をテーマに議論をすすめる。
講師 | 由井秀樹(山梨大学大学院総合研究部医学域社会医学講座 特任助教) 「戦後日本における男性不妊の語られ方」 |
竹家一美(お茶の水女子大学 非常勤講師) 「男性不妊の医療化と男性性」 |
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司会 | 仙波由加里(お茶の水女子大学、IGS) |
言語 | 日本語 |
参加申込 |
要事前申込・登録制、参加無料:ZOOM参加申込フォーム *当日、セミナー参加の際にはZOOM WebinarにアクセスするためのZOOMアカウントが必要です。 |
《研究報告要旨》 「戦後日本における男性不妊の語られ方」 「不妊の原因は女性のみならず、男性にもある」。今日に至るまで、こうした言説は再生産され続けている。本報告では、戦後間もなくから近年までの新聞の身の上相談記事から、「盲点」であり続ける男性と不妊をめぐる問題について、何が語られてきたか検討する。 「男性不妊の医療化と男性性」 不妊と男性の関係は、従来「沈黙」によって特徴づけられるとされてきた。「男性不妊」はその不可視性ゆえに、生殖能力の欠如を性的能力の欠如にすり替えられるおそれがあるため男性たちは語らない/語れない、というのがその理由である。ところが近年、日本では少子化対策を背景に、政治的・医療的な問題として「男性不妊」が注目されるようになってきた。男性不妊治療の技術が発展する中、専門医による男性への啓蒙・啓発活動が進み、行政も支援を開始するなど、男性不妊をめぐる社会的状況は変わりつつある。一方、男性側にも、著名人のカミングアウトを契機として、自らの不妊経験をSNSで発信する男性が現れるなど、変化の兆しが窺える。こうした状況を踏まえ、本報告では不妊と男性の関係、特に不妊と男性のセクシュアリティに関する話題を提供する。具体的には、報告者が本年4月に上梓した『日本の男性不妊』における分析結果、及び考察を紹介する。 |
《登壇者略歴》 由井秀樹 竹家一美 |
主催:お茶の水女子大学ジェンダー研究所