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11/21セミナー「戦後」沖縄フェミニズムにおける「ホーム」概念の変容とその可能性

IGSセミナー
「戦後」沖縄フェミニズムにおける「ホーム」概念の変容とその可能性

日時:11月21日(火)16:00~17:30
会場:人間文化創成科学研究科棟408教室(対面)

1995年9月に沖縄で起きた少女強姦事件に対する抗議運動を牽引し、その後も「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」を結成して軍隊による構造的暴力を継続的に批判する沖縄の女性たちの運動は、沖縄研究および運動の現場の両方において重要な試みとして捉えられている。ただ、それ以前のその思想形成の歴史にはこれまであまり光が当てられてこなかった。
本セミナーでは、特に米軍統治による女性の二分化に抗った島マスの1950年代の活動を再考し、これを現代の沖縄フェミニズム運動の一前史として捉え直す。沖縄に冷戦のドメスティックな空間(ホームフロント)が築かれる中で沖縄の女性たちは、一方でそれを維持する良き「主婦」の役割を担わされ、他方で米軍に対する性労働を強いられる存在として二分化された。島マスの50年代の活動の限界と可能性を示しながら、80年代以降の沖縄におけるフェミニズム運動が、社会的弱者を生み出し続ける軍隊の構造に着目し、女性一般の人権の獲得ではなく、占領そのものの閉塞状況を打破する方向へ舵を切っていった意義を可視化する。
ディスカッサントからは、米軍統治下の入管行政のなかで、性労働に従事した女性が奄美やその他の日本「本土」からの移住者に重ねられた歴史を踏まえ、移民管理の問題から米軍占領と占領女性の「二分化」について論じていただく。

報告 佐喜真彩(立教大学ほか非常勤講師)
ディスカッサント 土井智義(明治学院大学国際平和研究所 助手)
司会 嶽本新奈(IGS)
言語 日本語
参加申込 要事前申込・登録制(参加無料)
対面・オンライン併用:申込フォーム

<報告者>

佐喜真彩(立教大学ほか非常勤講師)
琉球大学法文学部卒業。一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程単位修得退学。博士(学術:一橋大学)。立教大学ほか非常勤講師。専門は戦後沖縄文学。研究テーマはフェミニズムから見る戦後沖縄文学。主な論文に「憑依される身体から感染する身体へ——目取真俊「群蝶の木」にみる戦後世代の戦争トラウマ」(『女性・戦争・人権』21号、2022年10月)、“Voices of Despair: Encounter Between a Sex Worker and a Soldier in Post War Okinawa in Sueko Yoshida’s Love Suicide at Kamaara” in Correspondence: Hitotsubashi Journal of Arts and Literature.Vol.3, 2018など。

<ディスカッサント>

土井智義(明治学院大学国際平和研究所 助手)
琉球大学法文学部卒業。大阪大学文学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(文学:大阪大学)。沖縄大学等非常勤講師、日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)、琉球大学島嶼地域科学研究所PD研究員を経て、現職。専門は沖縄近現代史。著書・論文に『米国の沖縄統治と「外国人」管理:強制送還の系譜』(法政大学出版局、2022年)、「米国にとって沖縄とは何か : 琉球列島の地位に関する連邦裁判所判決をめぐって」『年報・日本現代史』(第27号、2022年)など。

主催:お茶の水女子大学ジェンダー研究所