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12/7 国際シンポジウム「中国における農村・ジェンダー・モダニティ」

2024.12.7 IGS国際シンポジウム
中国における農村・ジェンダー・モダニティ

 近現代中国において、農村とジェンダーは重要な社会的課題であり続けてきた。欧米と日本による植民地化への抵抗、西洋近代への憧憬や葛藤、そして社会主義体制の下での国家統治とその変動において、農民や女性はときに「前近代性」「後進性」に結びつけられ、ときに「社会問題」の根源とされてきた。フェミニストアプローチによる現代中国研究は、こうしたまなざしを批判的にふりかえるとともに、中国農村の女性たちが独特のかたちでモダニティを経験してきたことに目を向けてきた。ジェンダーの視点から社会主義体制とその変遷の下での農業生産や村落のガバナンス、土地へのアクセスをめぐる差異の政治を問い、日々の生存維持やケア、身体やセクシュアリティをめぐる権力の交差を掘り下げ、政治経済秩序の変動のなかでの社会的再生産の変化や困難を浮かび上がらせてきたといえる。
 本シンポジウムはそのような議論の蓄積に照らしながら、現代中国史において農村、ジェンダー、モダニティの位相がどのように変遷してきたのかを討議する試みである。宋少鵬氏(中国人民大学)による基調講演は、中華人民共和国成立初期から改革開放直前までのあいだの政治経済秩序と農村におけるリプロダクティブ・ポリティクスの連接を読み解くことで、フェミニストアプローチに基づく研究の有効性をあらためて浮かび上がらせるだろう。また史資料やオーラル・ヒストリーの収集、フィールドワーク等の手法を通じて中国農村の社会変化をとらえてきた姚毅氏(大阪公立大学)、田原史起氏(東京大学)、李亜姣氏(宇都宮大学)は、医療、家族、土地といったトピックに接近することで、より具体的な論点を提示してくれるだろう。日本・中国・欧米の学術界を架橋しながら現代中国の農村ジェンダー史に向き合ってきたリンダ・グローブ氏をディスカッサントに迎えつつ、フロアーを含む全体において、活発な討論を目指していきたい。

日時:2024年12月7日(土)13:00-17:30 
会場:お茶の水女子大学国際交流留学生プラザ2階
参加申込:要事前申込・登録制、参加無料:参加申込フォーム
言語:日本語、中国語普通話(基調報告、逐次通訳あり)
主催:お茶の水女子大学ジェンダー研究所
共催:中国女性史研究会

《プログラム》

開会の挨拶(13:00-13:05)
基調報告(13:05-14:15)

宋少鵬(中国人民大学)
「政治的変動とともに:農村部の母子衛生事業としての新式出産普及運動(1949年‐1978 年)」

質疑応答・休憩(14:15-16:20)
報告(14:50-14:40)

14:50-15:20
姚毅(大阪公立大学客員研究員)
「人民性・地方実践とジェンダー:はだしの医者の経験から」

15:20-15:50
田原史起(東京大学)
「中国農村における『家族主義』の現在:モダニティとジェンダーの視点から」

15:50-16:20
李亜姣(宇都宮大学)
「『農嫁女問題』の行方:『農村集団経済組織法』と世帯の一体化」

休憩(16:20-16:30)
ディスカッサント(16:30-16:50)
リンダ・グローブ(上智大学名誉教授)
全体討論(16:50-17:30)
閉会挨拶