2015年12月4日(金)、IGSセミナー/上野千鶴子先生大学院特別講義「ドキュメンタリー映画『何を怖れる?フェミニズムを生きた女たち』上映会」が開催された。本作品は、1970年代、ウーマンリブが産声をあげてから40数年にわたる、日本のフェミニズムの歴史と、現在も続くさまざまな女たちの活動を映像で綴るドキュメンタリー映画である。上映会は、お茶の水女子大学の卒業生や在学生からの、本学での上映会を是非開催したいという要望を受け、ジェンダー研究所の主催により実現した。先に本作を観賞していた者たちには、フェミニズムについての貴重なドキュメンタリーであるこの映像を、本学の学部生、大学院生、教員や地域の方々など、多くの人に観賞していただきたいという強い気持ちがあった。
当日の会場には100名を超える幅広い世代の参加者が集い、大変熱気に包まれた上映会となった。映画鑑賞後には、映画の出演者のおひとりでもある上野千鶴子さんと会場の参加者とのトーク・セッションを行なった。上野さんの軽妙なトークや映画の撮影秘話に笑いが起こったり、神妙な面持ちになったりと興味深く聴く参加者の姿が印象的であった。参加者からは、様々な質問や感想が挙げられた。映画の中で初めてフェミニストの肉声を聞けて嬉しかったという方から、出演者たちの話に自分のフェミニストとして生きてきた人生を重ね合わせて観られた方まで実にさまざまであった。多くの参加者は、映画に大変勇気づけられた、エンパワーされた、という感想を持っていた。一方で、若い世代の一部からはフェミニズムに対して実感を伴わないが、フェミニズムの運動があったからこそ今の女性の状況を享受できているのだとあらためて気づかされたという意見もみられた。
参加者はほとんどが女性であったが若干の男性の参加者もいらした。上映会後に提出していただいた感想用紙には、男性参加者はどのような感想を持ったのか聴いてみたかったという意見もあった。今後はより多くの男性にも本作品を観賞していただき、女性たちの置かれた状況やフェミニズムのこれからについて多くの人が発展的に議論する場を設けていくことが重要だと感じた。また、上野さんの「女性は弱者に対する想像力で繋がることができる」、「無位無冠の女の強さ」という言葉に励まされた参加者が多くいた。「ようやく本作品を観ることが出来て感謝している」という意見も複数いただいた。今回、本学で上映会が実現したことは主催者側にとっても大きな財産となった。最後に上映会開催においてご尽力いただいた関係者の皆さまに感謝を申し上げたい。
(記録担当:小川真理子 本学リサーチフェロー)
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【日時】2015年12月4日(金)13:30~16:00
【会場】お茶の水女子大学共通講義等2号館201教室
【講師】上野千鶴子(お茶の水女子大学客員教授、東京大学名誉教授、立命館大学特別招聘教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長)
【司会・コーディネーター】小川真理子(お茶の水女子大学基幹研究院リサーチフェロー)
【主催】お茶の水女子大学グローバル女性リーダー育成研究機構・ジェンダー研究所(IGS)
【参加者数】102名
《 2016/3/14掲載 》