2024.4.24 IGSセミナー「一緒に学ぼう!性的同意と第三者介入ワークショップ」
2024年4月24日、「性的同意」を広めるさまざまな活動を行ってきたMisha Cadeさんと今村さくらさんをお招きして、「一緒に学ぼう!性的同意と第三者介入ワークショップ」を開催した。 冒頭、参加者らは3人グループを作り、ピザを注文するというアイスブレイクを行った。グループで1つのピザを注文すると仮定して、どのようなピザを注文するかをみんなで話し合うというものである。サイズは何か、アレルギーはないか、そもそもピザは好きかどうか、今おなかは空いているかなど、日常の中で自然に行われる会話のやり取りは、まさしく「同意」を取る行為そのものであることを確認した。
「同意」が取れていない状況では、相手のバウンダリー(自分と他人の適切な境界線)を侵害することになり、性暴力につながる恐れがある。また、性暴力は、属性に関わらず誰しもが被害者・加害者になる可能性がある。子どもやLGBTQ、身近な関係性(家族、友人間)であるなど、より声を上げづらい立場や環境であるほど性暴力に合いやすいという統計調査もある。自分や大切な人を性暴力から守るためには、「性的な言動の前に積極的に意思確認を行う」という意味での「性的同意」が必要不可欠である。
次に、性暴力を未然に防ぐ方法として、被害者・加害者ではない「第三者」の存在も非常に有効であることが提示された。「サークルの飲み会で酔っ払った友人が、その後先輩から性被害にあった」というシナリオを元に、どのように「第三者介入」ができたのかをグループで話し合い、発表を行った。「第三者介入」の方法として、加害者にやめてもらうように声をかけることが想像されがちであるが、5D’s(直接介入、気をそらす、委任する、証拠を残す、後から介入する)など他にも様々な方法があることが紹介された。
最後に、「性的同意」だけでは性暴力は根絶しない現状も触れられた。性暴力は不平等を生み出す社会構造を改善しない限り解決はされず、法律上で定義される「性的同意」だけでは限界がある。私たちが持つ自己決定権(自分の身体のことを自分で決める権利)が侵害されない状況、つまり正義(ジャスティス)が達成されるためには、単なる「同意」だけではなく、妊娠、中絶、親になること、子育てなどの権利も同時に考えなければならない。こうして初めて、リプロダクティブ・ジャスティスの実現に近づくことができる。しかし、はじめの一歩として、個人の恋愛関係の中で「同意」を積み重ねていくことが、ジェンダー不平等な世界で生きていく上での日常的な「プチ・レジスタンス」につながるというポジティブなメッセージと共に終了した。
記録担当:花岡奈央(IGS アカデミック・アシスタント)
《イベント詳細》
IGSセミナー「一緒に学ぼう!性的同意と第三者介入ワークショップ」
【日時】2024年4月24日(水)16:00~18:00
【会場】人間文化創成科学研究科棟604室
【司会】花岡奈央 (IGS アカデミック・アシスタント)
【講師】
Misha Cade(東京大学 総合文化研究科 博士後期課程)
今村さくら(一般社団法人ちゃぶ台返し女子アクション、お茶の水女子大学院 ジェンダー社会科学専攻 卒業生)
【主催】ジェンダー研究所、『リプロダクティブ・ジャスティス』翻訳プロジェクト
【言語】日本語(同時通訳なし)
【参加者数】18名